マレーシア・ナジブ首相 対 マハティール元首相

2016年3月10日 〔マレーシア〕

 2月29日、マレーシアのマハティール元首相が与党「統一マレー国民組織(UMNO)」を離党するというニュースが流れた。現在90歳になったマハティール・ビン・モハマド氏は1981年7月16日から 2003年10月31日までの長期にわたり首相を務め、シンガポールのリー・クアンユー元首相と同じ時代にマレーシアの発展のために力を注いてきた首相で、いまだに国民からの支持は多く、影響力も大きい。

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 そのマハティール元首相がマレーシアの初代首相から続いている政権与党のUMNOを離党するという。その理由と背景についてまとめてみたい。

 今回、マハティール氏は離党の理由を、UMNOがナジブ首相の下で「汚職を支援している」と語った。また、「これはもはやUMNOとは言えず、ナジブ党だ。私は、汚職を支援しているとされる党と関わるのを恥ずかしく思う」(ロイター 2月29日)と記者団に語っている。

 ナジブ首相の汚職疑惑についてまとめておく。

 昨年7月頃、米ウォール・ストリート・ジャーナルなどが、マレーシアの政府系ファンド「1MDB」によるナジブ首相の個人口座への7億ドルの振込疑惑を報じた。ナジブ首相は正式に否定しているものの、 この不透明な資金送金疑惑について一時は同国中央銀行などと共同で設立した同国捜査チームが1MDBの家宅捜索を行い関連6銀行の口座も凍結したと言われている。

 しかしながら、昨年7月末、ナジブ首相は、自身に批判的なムヒディン・ヤシン副首相他数名の閣僚を更迭するなどの行動を起こしている。

 そして8月29日、首都クアラルンプールでナジブ首相退陣を求める大規模なデモが行われた。デモでは「Bersih」(清潔)と書かれた黄色のシャツを着たおよそ10万人の参加。マハティール元首相もデモに参加し、ナジブ首相の退陣を求める演説をした。その事実を巡って、11月にはマレーシア警察当局がマハティール氏を名誉棄損容疑で事情聴取を実施している。

 米ウォール・ストリート・ジャーナルが疑惑報道を行った数か月前の昨年4月、マハティール氏は自身のブログでナジブ首相の退陣を求めている。ブログでは、ナジブ首相は相次ぐスキャンダルや公金の浪費で「国民の信頼を失った」としており、「このままナジブ氏が率いれば次期総選挙で与党は敗北する」と伝えていた。 〈※関連記事

 2009年から首相を務めるナジブ・ラザク氏と、22年間首相を務めたマハティール氏の戦いが今回のマハティール氏の離党をきっかけに再燃するかどうか。90歳になり残された時間の少なくなったマハティール氏の憂いを国民は支持しナジブ首相の疑惑解明に向かうのか、注目される。

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〔Clisien ASEAN News Clips 編集部〕 


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