○ASEAN諸国の植物品種保護制度とUPOV条約

 東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟10ヵ国の内、植物の品種登録に関する国際条約「UPOV条約(UPOV Treaty)」に加盟しているのはシンガポール(2004年加盟)とベトナム(2006年加盟)の2カ国のみ。 

 UPOV条約加盟国は世界75カ国となっており、日本も加盟している。

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 現在、東南アジア諸国のUPOV加盟に向けた支援活動として「The East Plant Variety Protection Forum(EAPVP)」がある、ASEAN加盟10ヵ国と、中国、韓国、日本が参加している。

 ASEAN加盟各国の品種保護制度の現状については以下の通り。

1.UPOV加盟国

  • シンガポール・・・2004年にUPOVに加盟し、2014年7月からすべての植物を保護対象としている。担当当局は特許庁。
  • ベトナム・・・2006年にUPOVに加盟。担当当局は、農業・農村開発省。2014年末までの出願件数は、560件で、内173件が海外からの出願。

2.国内法があるがUPOV条約との整合性がなくUPOV加盟が出来ていない国

  • インドネシア・・・2000年に植物品種保護法が成立し、2004年に植物品種権の付与及び保護品種の利用に関する規則が制定されて制度の運用が開始された。農民の権利等に関する規定があり、UPOV条約との整合性はとれていない。担当当局は、農業省の植物品種保護・農業許可センターで。すべての植物を保護の対象にしている。
  • タイ・・・1999年に、UPOV条約と生物多様性条約を受けて、植物品種保護と遺伝資源の保護を目的とした植物品種保護法が成立した。この法律は、農民の権利の他、野生植物も保護可能であるなどの規定があり、UPOV条約との整合性はとれていない。2003年から出願を受け付け、2014年末までに1,152件の出願があり、252件が登録されている。
  • フィリピン・・・2002年に、植物新品種保護、国家植物品種保護局の設置等に関する法律が施行された。この法律は、農民の権利の規定等があり、UPOV条約との整合性はとれていない。2014年末までに223件の出願があり、160件が登録されている。すべての植物が保護対象。
  • マレーシア・・・2004年に植物品種保護法が成立し、2008年から運用が開始。生物多様性条約に基づく農民の権利等の規定が入っているため、UPOV条約との整合性はとれていない。すべての植物が保護の対象。2015年6月までに207件の出願があり、56件が登録されている。

 

3.UPOV条約に沿った国内法はできているが制度の運用が行われていない国

 

  • カンボジア
  • ブルネイ
  • ミャンマー
  • ラオス

〔参考〕

2017.12.18

〔Clisien – ASEAN Info Clips 編集部〕 ○他の記事も読む

 

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分類 〔プチノート〕, 東南アジア諸国