〇マレーシア総選挙2018の動向

2018年5月7日 〔マレーシア〕

 マレーシアの連邦議会下院選挙が5月9日に投開票を迎える。今回の選挙には、ナジブ首相の退任を求めてきたマハティール元首相(92)が首相候補として立候補し注目されている。

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 1957年の独立以来、「統一マレー公民組織(UMNO)」を中心とする与党連合「国民戦線」が政権を握ってきており政権交代は経験していない。これまでのすべての首相はこのUMNO所属だ。

 現在のマレーシアの成長の礎を作り上げたともいえるマハティール氏もUMNOに所属し、1981年から2003年までの22年間首相を務めた。そのマハティール氏が今回の選挙では、自らが中心となって立ち上げた「統一プリブミ党(PPBM)」から首相候補として立候補している。

 現在の与党連合「国民戦線」は、「統一マレー公民組織(UMNO)」、「マレーシア華人協会(MCA)」、「マレーシア・インド人会議(MIC)」を中心に全国各地を地盤とする政党が数多く属しており、このところ選挙による議席数は減少しているというものの、2013年5月の前回選挙でも222議席中133議席を獲得しており圧倒的に強い。

 一方、野党連合「希望同盟」は、有力なイスラム主義政党「汎マレーシア・イスラム党(PAS)」が離脱し192の選挙区で独自候補者を擁立しており、反与党の票が分散される可能性が高い。

 マレー系優遇の「ブミプトラ(土地の子)」政策をとるマレーシアでは、人口の約7割を占めるマレー系国民の多くが与党UMNOを支持しているとされる。一方、野党支持者は現状に変革を求める、中華系や少数民族などが多いとされる。中華系は都市部に多く住み、前回の選挙では与党は都市部で苦戦した。

 しかしながら、首相当時にブミプトラ政策を推進したマハティール氏が野党側に転じたことで、マレー系のある割合が野党連合へと流れる可能性もある。また、ナジブ首相の周辺には汚職疑惑や今回の選挙直前に成立・施行した「フェイクニュース対策法」に対する批判の声も多く、現状からの転換を求める人たちも多そうだ。

 マハティール氏は、今回の選挙を迎えるにあたり、かつて自身が追い落としたアンワル副首相(国民信託党)とも手を組むとされており、票読みが難しくなっている。

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〔Clisien – ASEAN Info Clips 編集部〕 ○他の記事も読む

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