連載「最新インドネシアビジネスニュース」(4)ジョコウィ大統領がジャカルタを離れ、ボゴールへ移動か

第1話はこちら) <前話><次話

インドネシアの地元メディア、コンパス・ドットコム(KOMPAS.COM)によると、2月15日(日)ボゴールにある大統領宮殿でジョコウィ大統領は野党であるグリンドラ党プラボゥ・スビアント党首と会談した。そして、ジョコウィ大統領の公務をボゴール宮殿に移動させる計画を発表した。

2月11日には、中央ジャカルタの大統領宮殿から、ボゴールの大統領宮殿にいろいろな私物を移動させていると内閣官房長官のアンディ氏がコメントを発表している。

ジョコウィ大統領の正式なコメントはないが、実質的に多くの公務をボゴール宮殿に行なっており、地元メディアからは様々な憶測が飛び交っています。

[PR]

ジョコウィ大統領の支持母体、闘争民主党(PDI-P)の党首であるメガワティーとの関係も、テレビ中継中にお互いに話そうとしない態度から悪化しているように感じられる。

それは、インドネシア警察長官のスキャンダルに端を発している。
さらに、メガワティは党首として、大統領を支配下におきたいが、それを国民は許していない。
ジョコウィ大統領は、秘密主義のメガワティーよりは、大統領選でライバルであったプラボゥ氏とのオープンな連携のために、まずは地理的に近づきたいと考えているだろう。

ジョコウィ大統領が向き合っているのは国民だということが、地元メディアからも感じられる。
国民はメガワティ大統領時代にさらに汚職が蔓延したことを忘れていないのです。

これらの政治動向を日本側からみると非常に分かりにくい状況だと言える。

例えば、ユドヨノ政権からの新幹線の導入は中止となり、地下資源の輸出制限もある。
さらに、日本やアメリカを含む外国人就労者にはインドネシア語の能力試験を課すことも厳格化の傾向にある。

しかし、国内の実質失業者を減らし、少しでも安全で、豊かな暮らしを求めている国民と向き合っていることは、すばらしいことだと筆者は思っている。

ガソリン補助金をなくしたとほぼ同じタイミングで原油価格が下落し、大きな混乱を避けられたかもしれない。
しかし、今まで歴代大統領が手を付けられなかった補助金の撤廃は賞賛に値する。

もちろん、まだ様々な課題が山積している。
汚職撲滅委員会と警察のせめぎ合い、地方も含む港湾の整備、エア・アジア墜落事故によって噴出した様々な問題、地方と都市部の格差是正、ジャカルタ中心部における洪水対策、公務員の給与や教育問題もある。

しかし、クリーンでオープンな姿勢と国民の中に入り込む手腕はすばらしい。
今まで国民からみた政治家たちは、政治家どうしの権力争いにしか見えなかったのが、
国民の側に政治が近づいていきていることが、わずかならがら実感できてきたのだ。

これから、ジョコウィ大統領の手腕に期待したいし、日本側もインドネシア人の隠された欲求を満たせば
意外なところにビジネスチャンスがあるかもしれない。

出典:KOMPAS.COM (2015.2.15)より一部抜粋

前回記事:(3)インドネシアの中学校に日本語教師を1,900人派遣


執筆:島田 稔(しまだ・みのる)
大手電機メーカーの技術者としてインドネシア在住9年。その後インドネシアで独立し現地法人を立ち上げる。2冊商業出版し、現地企業や宗教家などと太いパイプを持つ。現在はセミナーや執筆、翻訳、進出企業支援を行なう。お問い合わせはメールで!
langkah.pasti3@gmail.com

連載「最新インドネシアビジネスニュース」(4)ジョコウィ大統領がジャカルタを離れ、ボゴールへ移動か はコメントを受け付けていません

分類 ◇連載:『最新インドネシアビジネスニュース』