2019年1月23日 〔フィリピン〕
フィリピンのミンダナオ島西部で2022年に設立予定のイスラム自治政府への参加を問う目的で1月21日に行われた住民投票の大勢が明らかになった。
投票は「イスラム教徒自治区(ARMM)」を構成するマギンダナオなど5州とコタバト、イサベラの2市で行われたが、これまでに賛成が過半数を超えた5州1市の参加が決まった。残るイサベラ市は賛否が拮抗しているという。
近日中に選挙管理委員会が結果を公表する予定。
自治政府の設立は、フィリピン中央政府と同国最大のイスラム反政府勢力「モロ・イスラム解放戦線(MILF)」が2014年に結んだ包括和平で合意している。また、2018年7月には、ドゥテルテ大統領が主導し関連法が成立しており、法手続き上、設立には住民投票を経る必要があった。
MILFは、自治政府の首都をコタバト市とする予定としており、フィリピンの人口の約4%にあたる400万人前後が自治政府に属することになる。
自治政府は、予算編成権や徴税権を持ち、中央政府から歳入の5%の650億ペソ前後(1300億円強)が毎年交付される。また、最初の10年間は年50億ペソが支給される。イスラム教徒にはイスラム法(シャリア)が適用される。
今後の流れは、ドゥテルテ大統領の承認を経て暫定議会が発足し、議会が選出した閣僚による暫定政府が自治政府への移行計画をまとめる。
また、2月6日にも北ラナオ、コタバト両州の一部で住民投票が行われ、最終的に領域が確定することになる。
自治政府の設立を受け、MILFは段階的に武装解除を進める。約4万人いるとされる兵士も退役させて農民などに転換させる予定。
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〔Clisien – ASEAN Info Clips 編集部〕 ○他の記事も読む○