フィリピンで反テロ法が施行予定

2020年6月17日 〔フィリピン〕

 フィリピンでは反テロ法が近く施行される。同法は2007年制定の安全保障法に代わるもので、警察や軍など治安当局の権限が拡大される。従来はテロを共謀して実行した者が摘発対象だったが、新法ではテロを扇動したり組織に勧誘したりした者なども対象となる。裁判所の令状なしに容疑者を逮捕、拘束できる期間も従来の最長3日間が14日間となり、10日間の延長も可能となる。

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 ドゥテルテ大統領が6月1日、下院議会に書簡を送り、迅速な法制化承認を求めた。その2日後に議会で法案が承認され、近く大統領が署名し施行される見通しだ。

 2017年に南部ミンダナオ島マラウイ市で起きたイスラム過激派の武装勢力の鎮圧に5ヶ月かかり1千人以上の死者がでた。その後も共産党系武装組織が活動を活発化していることから、2019年にドゥテルテ大統領の側近が法案を提出した。

 反テロ法に対しては、国連人権高等弁務官事務所などから、人権侵害の可能性の指摘があるが、大統領報道官は欧米で導入された法律を基にしており問題はないと反論している。

 東南アジアではインドネシアでも2018年に反テロ法改正案が国会で可決されている。改正法では、テロを起こす可能性が高いと判断された人物を予備的に拘束できる期間を従来の3倍の3週間に延長し、事件を起こした構成員の使用者責任として過激派組織の幹部を事件の共犯としての立件も可能としている。

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〔Clisien – ASEAN Info Clips 編集部〕 ○他の記事も読む

 

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