(連載)「インドネシアの生活風景」   (3)高校卒業試験の後はお祭り気分

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著:Lily Fatma (リリー・ファッマ)

 逗子生まれ。父親はインドネシアの北スマトラ出身、母親は日本人で横浜生まれ。小学校と中学校は日本の教育を受け、その間も外交官の父についてインドネシアと日本を往復。高校在学中に在日インドネシア大使館を退職した父について帰国。現在はメダンで高校生、大学生、一般の人に日本語を、そして日本人にはインドネシア語を教えている。

卒業1 インドネシアの義務教育の卒業試験は、高校は4月、中学は5月そして小学校は6月に行われます。大学は8月か9月に新学期が始まります。

 学校によってまちまちですが、試験が終わったその日、生徒たちは喜びを分かち合います。「わーい、これで試験から開放されるー!」
こういう感情は特に高校生達の間で目立つ傾向があります。

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でもまだたしかに卒業するとは限らないです。成績がある点に達さないと卒業できない可能性もあります。
 去年まではインドネシアの教育相の規定で文部省の試験だけで卒業できるかできないかが決まったのですが、今年の新政府の方針で文部省から出された試験のほか、学校側からの試験も合わせて卒業を決めるようになりました。
そのためすこし気がらくになったのでしょうか。去年までは試験を受ける前からみんな緊張ぎみで、病気になったり、試験の前後で気を失ったりする生徒があらわれる始末です。でも今年はそんなことはないようです。
そして今年からコンピューターのオンライン・システムで試験が受けられる方針も出されましたが、まだそこまで設備が整っていない学校が多いので、まだペーパーテストで行われていたのが大部分だったようです。卒業2

 ここ北スマトラの州都メダンでも高校の卒業試験が行われました。その日の午後、ある公立高校の数百人の生徒たちが市の中央広場に繰り出して、白とグレーの制服にカラースプレーを吹き付けてみんなでワイワイはしゃいでいました。
この制服を塗料で塗りつける習慣はこちらでもう20年ぐらい前から続いているようです。又、バイクに相乗りして、街に大勢で繰り出して行く生徒達もあります。


卒業4でも全国こんな学校ばかりじゃありません。南スマトラの高校生達は色とりどりの風船に自分たちの希望を書いて、空に放しました。
またメダンのある高校の生徒達は今まで使っていた制服をきれいに洗ってメダンから約60キロ離れている山地の現在噴火状態で避難している土地の子供たちのために寄付活動を行いました。感心ですね。卒業3

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