(連載)「インドネシアの生活風景」   (19)中部アチェ山奥 野菜売りの実直お兄さん

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中部アチェの州都、タケゴンより20キロほど離れているジャムール・ダリン・ルシップという村で野菜などをバイクで売り歩いているクスマさんをご紹介します。●IMG_2850
クスマさんは25歳の青年で、この商売をしてからまだ8ヶ月です。
毎朝野菜や魚などをタケゴンまで買出しに出かけます。山地なので、道は険しく、坂は多いし、気温は平均20度から23度で寒いくらいですが、なんのその、毎日一生懸命働いています。

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●IMG_2873
彼は一家の長男で年いった両親やまだ学校へ通っている兄弟のために稼がなければなりません。
一般にこの村の青年達はこの地方特産のガヨ・コーヒーの栽培農園で働いている人が多いんですが、コーヒーは5、6ヶ月にしか収穫しないので、収入は固定していません。
最初彼は市場で日雇いで働いていましたが、こちらの方が稼ぎが多いし、時間的にも自由が利くので野菜売りの方を選びました。
どんなに小規模、大変でも、自分の商売を営むということは満足感がありますね。
バイクの後ろ横にあるかごの中には野菜や魚などが入っています。●IMG_2871(1)魚は毎日売切れてしまうそうです。たまに残ったら、氷が入った箱の中にしまっておいて明日また売ります。冷蔵庫などないので。
この商売をしてから、日本製のバイクを月賦で買えるようになりました。
バイク購入の前金は三百万ルピアで月に百万ルピア支払っています。
今までの苦労は?と聞いたら、苦労だと感じたことは一度もありませんと答えました。
全ては家族のため、自分のためにしていることだから、疲れなども感じないそうです。まだ若いですからね!●IMG_2872
ところでビニール袋に入ったピンク色のものは何だかお分かりですか?
子どもたちが喜ぶ綿菓子です。日本にもありますね。
これからもバイクで「サユ-ル! イカン!」(サユ-ルはインドネシア語で野菜、イカンは魚です)と元気な声を村の人たちにかけてゆくでしょう。
がんばってね!

著:Lily Fatma (リリー・ファッマ)
 逗子生まれ。父親はインドネシアの北スマトラ出身、母親は日本人で横浜生まれ。小学校と中学校は日本の教育を受け、その間も外交官の父についてインドネシアと日本を往復。高校在学中に在日インドネシア大使館を退職した父について帰国。現在はメダンで高校生、大学生、一般の人に日本語を、そして日本人にはインドネシア語を教えている。

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