〔コラム〕シンガポールの国会選挙は明日投票 国民が求めるのは何か

 明日、9月11日はシンガポールの国会選挙の投票日です。シンガポールは1院制で定数89の議席数を29選挙区で争うことになるのですが、注目すべき点は建国以来政権与党を続けている「人民行動党(PAP)」がどれだけの議席数と投票率を確保できるかです。

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 シンガポールを独立に導いた初代首相のリー・クアンユー氏は、今年3月23日、50回目の独立記念日を前に91歳で亡くなりました。リー・クアンユー氏が現在のシンガポールをつくるために率いたのが「人民行動党(PAP)」です。現在は息子のリー・シェンロン氏が第3代首相として政権与党「人民行動党」を率いています。

 独立から50年がたち、一人当たりのGDPが日本を超えるまでに成長したシンガポールは、そろそろ「あの」厳しい時代のことを知る世代が少なくなってきています。その時間の流れとともに、「絶対与党」に対する信任も薄れてきているようです。

 今回の選挙戦で「あなたたちと、その子供たちのために、良いシンガポールを作ると約束する」と投票日目前の9月8日に演説したリー・シェンロン氏の声は、今のシンガポール国民の心にどこまで届くのでしょうか。

 2011年に行われた前回の選挙では、野党に票が流れ、人民行動党の得票率は60.14%となりました。1968年には84.43%の得票率でした。そして野党は過去最大となる6議席を獲得しました(与党は81議席)。その流れが今回の損選挙でも続くのが、人民行動党がもう一度「一党独裁」の地位を取り戻すのか、注目です。

 野党各党は今回初めて全選挙区に対立候補を擁立しました。最大野党の「労働者党」は、一党が支配的な国会の現状を「不健全」だと訴えています。前回の選挙で落選した人民行動党のザイヌル・アビディン元上級国務相は「有権者は人民行動党の与党が長すぎて、チェックが利かないとみている。監視役としての野党への期待が大きい」と話しているそうです。

 スピード感のある政策実行のためには一党独裁が必要だったシンガポールですが、豊かな国になった今、国民の求めるものはこれまでとは違ってきているのかもしれません。

〔参考〕

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EmNidoリサーチ 
リサーチャー 仁藤誠人  2015年9月10日 


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