(22)トバ湖サモシール島までのフェリー舵取りのお兄さん
(Lily Fatma)
東南アジア最大のカルデラ湖をご存知ですか。北スマトラにあるトバ湖は面積1,256平方メートル、海抜900メートル、深さ400メートル、世界で一番高所にある湖です。インドネシアでは最大規模の湖です。
湖の中央にはサモシールというシンガポールがすっぽり入るくらいだと言われている島があります。そのトバ湖の辺にある町、パラパットからサモシール島までの往復フェリーについてお話します。
舵取りのヘンドリーさんはまだ24歳の若者。もう結婚して子どもが一人います。最初は舵取りの助手として働いていましたが、今はもう一人前の舵取りです。
天候が少々悪くても出発します。サモシール島まで約40分。乗客をあきさせないために、カラオケのサービスも。お正月や学校が休みのとき、また他の祝日には乗客が倍に増えます。
普段は一日に二度だけですが、乗客が増えたときは運航回数を増やします。乗客は国内の観光客が大部分ですが、外人の観光客はヨーロッパから多いそうです。
フェリーのエンジンは日本製の三菱で、もう10年間使用していますが、故障がないとのこと。それも新しいのじゃなくて中古のエンジン。整備をきちんとしているんですね!船体はこちらで組み立てたもの。
ずっと前は乗客オーバーしたりして、事故が起こったことがありましたが、現在はそういうことは絶対しないと言っていました。それからゴミも絶対湖に捨てたりしていないということ。この地方にはキリストまたはカトリック教信仰者が大部分ですが、まだ精霊信仰者の人々もいるので、湖の精霊が怒ることは絶対するべきではないという考えの人もいます。
北スマトラにいらしたら、一度はぜひトバ湖へお寄りください。
著:Lily Fatma (リリー・ファッマ)
逗子生まれ。父親はインドネシアの北スマトラ出身、母親は日本人で横浜生まれ。小学校と中学校は日本の教育を受け、その間も外交官の父についてインドネシアと日本を往復。高校在学中に在日インドネシア大使館を退職した父について帰国。現在はメダンで高校生、大学生、一般の人に日本語を、そして日本人にはインドネシア語を教えている。