◇シンガポールの選挙制度(2020年改訂)

2020年7月11日 

○議員数と任期

 シンガポールの国会は「一院制」で国民の投票による選挙で任命される議席数は93。任期は5年だが解散して総選挙となることもある。

 これ以外に以下の身分の議員がある

  • 「非選挙区選出議員」(Non Constituency MP)・・・野党の当選議員数が最低確保議席数である3議席(憲法上は9議席まで可能)に満たなかった場合、総選挙で落選した野党議員の内得票率の高い順に選出される。任期5年。予算、憲法に関わる重要法案には投票権はない。
  • 「任命議員」(Nominated MP)・・・9人まで。大統領によって任命される。任期2年。予算、憲法に関する重要法案には投票権はない。

○選挙日程

 選挙運動期間は9日以上8週間まで。投票日前日は「Cooling-Off Day」として選挙運動は禁止される。また、投票日が平日の場合は公休日となる。投票時間は通常午前8時~午後8時。投票所は全土に880ヶ所。

※2020年総選挙では新型コロナウイルス症対策のため880ヶ所から1,100ヶ所に増加。また投票時間も当日急遽午後10時まで延長となった)

○投票権

 有権者は21歳以上のシンガポール国民。投票は権利ではなく義務であり、出産などの特別な理由がなく投票しなかった者は、有権者名簿から抹消される。再登録には罰金5シンガポールドルを支払う必要がある。また、罰金を科されることもある。

○選挙区

 「グループ選挙区(GRC)」と「小選挙区(SMC)」の2種類の選挙区がある。

  • 「グループ選挙区(GRC: Group Representation Constituencies)」・・・数人がグループで立候補し、投票はグループに対してなされる。得票数の最多のグループに属する候補者全員が当選する。
  • 「小選挙区(SMC: Single Member Constituency)」・・・1人だけが投票で選ばれる。

 選挙区は毎回選挙前に各地域の人口の増減などを考慮し見直しされる。

 2020年総選挙の際の選挙区GRC17区、SMC14区の合計31選挙区。その内訳は以下のとおり。

  •  「グループ選挙区(GRC)」・・17(4人区:6、5人区:11)
  •  「小選挙区(SMC)」・・・・・・・・14

○その他特徴的な制度

  • 選挙の調査結果を発表したり、出口調査を行ったりすることは禁止されており、違反者には12ヶ月以下の懲役や1500シンガポールドル以下の罰金。
  • 政治集会の場所は決められており、芸能人などとの共演は禁止。
  • 野党にも議席を確保させるため、落選した野党候補者から選ばれる非選挙区選出議員の議席も設定されている。