□ベトナムの経済状況(JETROハノイ事務所長)

2015年9月26日

○2015年上半期の経済成長率

GDP成長率 : 6.3%の伸び

  • 製造業・工業・建設業(GDPの約33%)・・・9.1%の伸び
  • サービス業(GDPの約40%)・・・・・・・・・・・5.9%の伸び

ただし、小売売上高は実質ベースで8.3%増(過去5年間で最も高い成長)

○消費者物価指数(CPI) 

  • 2011年:前年比18.2%のハイパーインフレ
  • 2012年:同 9.2%
  • 2013年:同 6.6%
  • 2014年:同 4.1%
  • 2015年上半期:年換算ベースで0.9%(昨年10月にズン首相が公表した目標は5%)

○貿易

 上半期は貿易化赤字だったが、輸出相手国2位の対中貿易が赤字で1位の対米では黒字。今後TPPが対米貿易に追い風。

○日本からの投資動向

  •  2014年は認可ベースで342件の新規投資案件。そのうち291件は500万ドル未満と金額ベースでは中小規模に移行してきている。これまでは製造業中心だった投資が2014年は122件にとどまり、非製造業の増加が著しい。
  •  2015年も1月から8月の時点ですでに195件の新規投資があり、171件が500万ドル未満、120件が非製造業。

○インフラ整備

  •  ベトナムは2010年までに全国で約2500キロメートルの高速道路網整備を計画している。
  •  中国と国境を接するラオカイ省とハノイを結ぶ高速道路が2014年9月に開通。アクセスが8時間から4時間に短縮。
  •  ハノイとハイフォンを結ぶ高速道路も2016年内に開通予定。

○その他

  • 製造業や小売りに加えて、農業や観光、教育や健康サービスなども有望。
  • 7月に投資法・企業法が改正されたが催促が未発表のため、日系企業も投資ライセンスの変更や、日本からの新規企業設立手続きが滞っている。
  • ジェトロの昨年の調査によると「税制・税務手続きの煩雑さ」「法制度の未整備・不透明な運用」の2項目がベトナムリスクの上位にあげられている。

 

日本経済新聞(2015年9月15日) 「ベトナム特集」掲載の「ジェトロ・ハノイ事務所 川田敦 所長へのインタビュー記事」より