○インドネシアの高速鉄道計画、日中提案のまとめ

2015年8月26日 〔インドネシア〕

 インドネシア政府が進める高速鉄道計画はジャワ島の首都ジャカルタからバンドンまでの約140㎞区間が当面の対象で、将来的にはスラバヤまでの約730㎞区間に延伸する構想。ユドヨノ前政権時に浮上し、日本は2008年頃から調査などで協力してきたが、ここにきて中国が積極的にアプローチ。今月中にも発注が決定されると言われており、日本と中国のどちらが受注するか注目される。

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 当初、耐震性や安全性に優れる日本の新幹線方式の採用が有力でしたが、昨年秋から中国が追い上げに乗り出した。今年3月と4月には、習近平(シージンピン)国家出席がインドネシアのジョコ大統領との首脳会談でトップセールスを展開。技術協力で合意し、今月の提案にこぎつけた。

 中国が8月10日にインドネシアの国家開発企画庁長官(当時)に提出した提案書ではインドネシア側の要望が大きく反映されたものだった。

 また、中国・国家発展改革委員会主任(閣僚級)が8月11日、インドネシアの閣僚との会合で「自由に使える巨額資金を提供できる」とし、インドネシアがインフラ開発案件の一覧表を提出すれば融資に応じる考えを示した。高速鉄道建設をきっかけに他の港湾などの案件の受注に広げたい考えのようだ。中国には巨大経済圏「一帯一路」構想にインドネシアを組み入れる戦略があり、積極的になっていると思われる。

 日本側としても今年5月に福田元首相をジョコ氏に派遣し、新幹線を売り込んだ。7月に出した日本側の提案では、年0.1%の低利融資を提示。従来2026年までとしていた完工を2021年に早めジョコ大統領の要望に答える姿勢を示している。

 インドネシア政府は欧米系のコンサルティング会社に日中の提案内容を評価するよう依頼。週内にもまとまる評価結果に基づき発注先を最終判断する予定。

〔インドネシア・ジョコ政権の要望〕

  • 2019年までの任期中の成果としたい
  • 社会基盤整備予算の不足から、政府負担を少なくしたい
  • 技術移転や安全確保も図りたい

○日本の提案

  • 2016年着工、2019年試験運転、2020年完工
  • 事業費の約75%を円借款などで融資、金利は年0.1%
  • 新幹線の安全性の実績を強調

○中国の提案

  • 2015年9月着工、2018年完工
  • 総事業費約55億ドル(約6600億円)の全額を米ドルと人民元で融資、金利は年2%
  • 鉄道部品の製造を行う工場をインドネシアと合弁会社を設立し技術移転を進める

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〔Clisien ASEAN News Clips 編集部〕 

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分類 インドネシア, 日本関連