連載「最新インドネシアビジネスニュース」(21)

インドネシア飲食店開業・運営の徹底ノウハウ【その1】

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 インドネシアに飲食店を開業し、利益を出し続ける方法について3回シリーズで、徹底的に解説する。「インドネシアが熱い」と言われても、どうも全体感や具体的な方法が見つからないという声をよく聞く。断片的ニュースや成功例だけでは、自分のお店に適応するかどうか、どうしても不安が残ってしまうのだ。

 最近のインドネシアには日系の飲食店が多数進出しており、現地人の外食に対する意識も変わりつつあるが、撤退や廃業するお店も多数存在する。その中で、現地に本当に受け入れられるのか、事業として存続できるのか、どんな間違いを犯しやすいのか、では具体的に何をすれば良いのか、について詳しくご紹介する。

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 インドネシアに飲食店を開業しようと思っているお店のオーナーや、事業担当の方にぜひ読んでいただき、あなたのお店を開業・存続し続けて、日本の食文化を現地に伝えてほしい。

目次

1.日本の味はゴミ箱に捨てろ
2.ハラル認証は必須
3.安全・安心を全面に出せ
4.日本語をロゴに入れろ
5.デリバリーメニューを作れ
6.内装と制服にこだわれ
7.断食月の準備をしろ
8.案内人は笑顔美人を配置せよ
9.ドアノブに手をかけて交渉する
10.パートナーは裏切ると思え
11.現地アドバイザーを雇え


   

1.日本の味はゴミ箱に捨てろ

 日本で作り込んだ味は一度全部ゴミ箱に捨ててほしい。日本での食材を厳選し、製法にこだわり続けうまくいった味は、繊細な味覚を持った日本人向けなのです。

 進出する多く飲食店が間違えるのは、自分の味に自信があり、「この味だけは譲れない」とこだわりを捨てきることができないことだ。「この味が自慢で、この味だからこそお客様から支持されている」という自負心がどうしても邪魔をしてしまう。

 昼間は30度以上もあり、最低気温も24度ぐらいの気候が一年中続き、四季も感じられす、子供の頃から唐辛子(チャべ)をそのままかじっていたインドネシア人と日本人とはまったく味覚が違うのだ。さらに試食段階では、こういったバックグランドを理解していない社長やオーナーが味見をして、「これはウチの味じゃない」といった判定をしてしまい、結局現地に受け入れらないものになってしまうのだ。

 例えば、インドネシアで一番売れているインスタントラーメンを私が最初に食べた時は、「なんだこれ~」と叫んでしまうくらい奇妙な味だったのだ。

・インドネシアで一番売れているインスタントラーメン Wingfoodのミー・セダップ(Mie Sedaap)

 また、日本に来たインドネシア人が日本食を食べて言うことは、「味がない」ということだ。味噌汁もそうだし、ラーメンでも、唐辛子を山盛りにかけて食べる。元々の繊細で複雑な味が、ほとんど唐辛子の辛さに埋もれてしまい、日本人からすればただ辛いだけの食べ物に変わってしまう。だから、日本の味をそのまま持っていっても、インドネシアでは受け入れらない。

 さらに、こだわりの食材や調味料を日本から輸入することは、加工食品に関する規制が厳しい。加工食品の輸入は、ML規定と呼ばれる規定で、輸入できないものも多くあるし、申請から認可されるまで半年近くかかる場合もありうる。

 以下は関連する法規類。

・加工食品登録に関する食品と医療監督庁長官規定 No.HK.03.1.5.12.11.09955
[Peraturan Kepala Badan Pengawas Obat dan Makanan Repablik Indonesia Nomor HK.03.1.5.12.09955 Tahun 2011 Tentang Pendaftaran Pangan Olahan]

・食品添加物に関するインドネシア保健大臣規定 2012年 033号
[Peratutan Menteri Kesehatan RI Nomor 033 Tahun 2012 Tentang Bahan Tambahan Pangan]

・食料に関する法律 1996年 第7号
[Undang-Undang RI Nomor 7 Tahun 1996 Tentang pangan]

 その他にもラベル表示、包装材、特定商品指定などの法規がある。

 まず、こだわりの_味を捨て、何を残すのかを決めることだ。それはメニューやサービス、雰囲気、安心や安全などだ。具体的には、現地で小さくテストをしながら、あなたの味を作り上げていくことが重要だ。

 自分の味に自信があり、どうしても味にこだわりたいのであれば、日本人駐在員やその家族だけをターゲットにした店舗にするしかないが、お客の取り合いになるし、ビジネスとしての拡大はそれほど見込めない。

   

2.ハラル認証は必須

 ハラルまたはハラールとは、イスラム教徒が口にするもの、化粧などの身につけるものがイスラム教の戒律に沿ったもので、「許可されたもの」という意味だ。インドネシアに出店する場合は、必ずイスラムの戒律にしたがったハラル認証を取ってほしい。

 基本的には、豚とアルコールを使用できないのだが、鳥や牛などの屠殺方法や調理器具の限定、食材を扱う者はイスラム信者であることなどの戒律がある。ハラル認証はそれぞれの国によって規定が違っており、世界的なルールはない。最近では、マレーシアのハラル規定が世界標準となりつつある。

 インドネシアには2億人以上のイスラム信者がいる言われている。彼らを取り込まない限りビジネスの拡大はできない。ターゲットとして、_非モスリムを狙う方法もあるが、華僑か外国人に頼ることになるので、人口比率から見ると極僅かだ。

 非イスラムの中華系をターゲットにした「豚骨ラーメン」は人気があるが、ジャカルタ周辺に限られており激戦区になっている。ジャカルタ以外では、中華系とイスラム系が混在して住んでいるため非イスラムだけを狙っても、的中する確率は少ない。

 だから、すべての人を対象とするには、ハラル認証を取得することだ。

 ハラルの規定は厳格で、豚肉を使った酵素でも違反になるし、日本の醤油やみりんにはアルコールが含まれていて、そのまま使うことはできない。私がインドネシア人を連れて来日し、スーパーに行った時、「これは豚が入っていますか?」を聞かれ、原材料名を見てみると、ほとんどの食品に豚が含まれていた。

 以前、”味の素インドネシア”が豚の酵素を使っていることが判明し、非売運動などの社会問題になったこともある。最近では、全国展開しているチェーン店ソラリア(Solaria)でも、ハラル認証を受けておらず、急激に客足が遠のいた。一度でもハラル規程に違反すると、バッシングと非売運動が起こり取り返しのつかないことになる。

ソラリア(Soraria):ローカル系全国展開している庶民向けレストラン(現在はハラル認証取得している)

 もともとハラルとは、イスラム教の聖典であるコーランに書かれている内容から派生している。

”コーラン第2章173節
彼があなたに食べることを禁じられるものは、死肉、流れ出た血、豚肉、アッラー以外の名で唱えられたもの”

“コーラン第5章3節
汝が食べてならぬものは、死獣の肉、流れ出る血、豚肉 ー それは不浄である。アッラー以外の名を唱え殺されたもの、絞殺されたもの、打ち殺されたもの、墜死したもの。”

となっている。

 なぜコーランで豚肉を禁止しているのかは、いろいろな説があるが、おおよそ以下にまとめられる。

・病原菌を持っていて、感染症の元になっている
・なんでも食う大食漢で不浄・不潔なイメージ
・牛のように家畜として労働力にならない
・繁殖力が強く禁欲のイスラム教義に反する
・反芻しない動物なので不浄
・農耕民族の家畜なので身分が低い
・人間とほぼ同じ物を食べるので食料枯渇が懸念される
・水をたくさん飲み、水資源の枯渇を懸念

 アルコールについてもコーランでは段階的に禁止になっている。

1.最初は人間にとって恩恵がある(16章69節)
2.酔っている者の礼拝禁止(4章43節)
3.酒には利益と悪害があるが、悪害の方が大きい(2章216節)
4.酒は人間の間に敵意と憎悪をあおり、神を忘れさせ、礼拝を怠らせるサタンの業として全面禁止(5章92節)
[出典:仏教・キリスト教・イスラム・神道どこが違うか」大法輪閣。平成3年10月8日発行]

 具体的な内容については以下に問い合わせてほしい。ただし、ハラル認証には不明瞭なところが多く、認定機関によってもレベルがあることを知っておくことだ。

日本ハラル協会
日本ムスリム協会
イスラミックセンタージャパン
日本イスラム文化センター
拓殖大学イスラーム研究所
ハラル・ジャパン協会

に問い合わせてほしい。

 インドネシアでの認証は、インドネシア・イスラム評議会:Majelis Ulama Indonesiaが認証機関になっている。

 まず、ハラル認証を取ると決意して豚肉やアルコールを使わないメニューを考えることだ。具体的には、化学調味料に豚由来の酵素が入っていないか確認する、みりんなどのアルコールが含まれていないもの、醤油はハラル認証のものを取り寄せてテストすることが第一歩になる。

ハラール濃口醤油(ちば醤油)
ハラル特選醤油(福岡醤油店)

   

3.安全・安心を全面に出せ

 すこし値段が高くてもレストランで食事をするのは安全・安心できると信じているからだ。今までは外食=屋台で、食材や食器などの衛生管理が悪く、ローカルでも食中毒を頻繁に起こしていた。収入もあがり豊かになってきたことも追い風だが、レストランで食事を楽しむ大きな要因は、安全・安心だからだ。安全・安心を買っているのだ。

 インドネシアのニュースを見ればわかるが、鶏肉やエビなどの食材に、ホルマリンを注射して腐りにくくしている業者がたくさんいることを知っている。

ニュース記事:屠殺された鳥肉、注射跡のある鳥とホルマリン投与の関係(Kenali Ciri Ayam Suntik, Tiren, dan Berformalin) [出典:food.detik]

 だから、多くのインドネシア人は安全だと言っても信じないし、どんな物でも食べる前にかならず臭いを嗅いで、腐っているかどうか、異臭がするかどうかを確かめるクセがついている。

 それに比べて、マクドナルドなど外資系のレストランで食事をするのは、管理が行き届いており、食材も調理法、衛生管理も含めて安心できるので家族で訪れるのだ。ヘルシーという前に、安全が第一なのだ。

 だから、あなたのお店では安心・安全だということを全面に出し、アピールすることだ。食品の産地、運搬方法、調理法、従業員の手洗い、調理器具の衛生管理などを見せるように配置したり、チラシ、メニューの中でもアピールする。それだけでも、お店の価値はグンと上がるのだ。

   

4.日本語をロゴに入れろ

 インドネシアにも「なんちゃって日本料理店」がたくさんある。ローカル系、シンガポール系の寿司レストランなども乱立している。だから、本当に日本からのレストランだとわかるように、日本語のロゴや日本語表記をすることだ。読めても読めなくても、日本のレストランだと感じられればよい。

 ただし、お店の名前を読めないと口コミが広がらないので、ローマ字表記もしておく。吉野家(YOSHINOYA)もラーメン山頭火(SANTOUKA)も日本語とローマ字の併記をしている。

 できれば一言で言える言葉がよい。ただし、インドネシア語でネガティブな言葉や意図しないイメージの言葉と似ている場合があるので、インドネシア人に聞いてみることだ。

 例えば、アニメに「パーマン」はインドネシアでは「ピーマン」になっている。それは、パーマン=おじさん(paman)という意味になってしまうからだ。なお、野菜のピーマンはインドネシアでは「パプリカ・ヒジャウ:Paprika hijau」と言う。

 例えば、インドネシアのローカル企業だが、インドネシアに根ずいているホカベン(旧ほかほか弁当)は、日本語との併記で、多くの人は日本のレストランだと思っている。

 創業者は ヘンドラ・アリフィン(Hendra Arifin)で、日本からの技術支援を受けているが100%インドネシア資本のフランチャイズだ。

 商標登録の申請は、法務人権省の知的財産総局が行っている。

[知的財産総局:Direktorat jenderal kekayaan Intelekutual ] [商標に関する法律:Undang-Undang RI Nomor 15 Tahun 2001 Tentang Merek]

 まず、希望する名称がインドネシア語でネガティブな言葉になっているかどうか、ほかの商標とかぶっていないかを調べることだ。これが、今後のブランドイメージになってくるのだ。

   

5.デリバリーメニューを作れ

 メニューの中には必ずデリバリーできるメニューを入れておくことだ。最近オフィス街などでは時間がないためデリバリーを頼む人が多い。ランチボックスやおべんとうという名称も一般的になっているし、デリバリーだけを扱う専門業者やバイクタクシー業者も出てきている。

クリックイート:Klik-eat.com
フードパンダ:foodpanda
ゴー・フード:Go Food

 工業団地周辺でも、ピザやフライドチキンなどのデリバリーも盛んに行われている。

 できれば、お弁当形式でパッケージ化されたものがよい。容器を回収するのは結構手間がかかるからだ。日本人や外国人向けには高級感を持たせるために、回収する弁当箱形式を使うところもある。また、断食明けの食事はレストランに殺到し、満員になることがわかっているので、デリバリーを頼む人も多い。

 ただ、道路状況によりかなり揺さぶられて搬送される場合があり、ご飯とおかずが混じってしまう場合があるので、容器の形状を工夫する必要がある。現地業者と相談し、テストを繰り返すことだ。

 今すぐやることは、今からデリバリーメニューを考えておくことが必要だ。

   

6.内装と制服にこだわれ

 味よりもこだわってほしいのが、店の雰囲気作りと従業員の制服だ。日系のレストランだとはっきり分かることで、お客様のステータスを上げることができるからだ。

 基本的にインドネシア人は明るい店を好む。それは今までの外食は屋台で、真っ暗な屋外での食事をしてきたからだ。そして暗い=不安という概念が付きまとう。繁盛店の多くは、白っぽい基調で統一され、昼間から蛍光灯がたくさんついていて、明るい店内になっている。

 また、ウィエイターやウェイトレスの制服も重要だ。清潔で、統一されたイメージを感じさせるものでなければならない。高級日本料理店では、着物を着用したり、ラーメン店では同じ色のTシャツもある。女性の場合には、髪型や化粧方法を指導して統一しているところもある。

 トップブロガーの一人であるワハビットさんは、会社の制服が女性のモチベーションアップに繋がっているとしている。(※ブログ

 制服も頻繁に変えていくことで、お客さんを飽きさせないことになるし、従業員も制服が変わることでモチベーションもアップする。制服は安価でできる業者がたくさんあるので、それほど大きな出費にはならない。

 それよりも、清潔感や日本のイメージを醸し出す方が売り上げにつながるのだ。

 実際の制服の製作は以下を参考にしてほしい。どの街にも仕立て屋はいるので、サンプルさえあれば安価で発注できる。

ビキン・バジュ(Bikin bjau)
アネカ・スラガム(Aneka Seragam)

   

7.断食月の準備をしろ

 毎年イスラム教の最大のイベントである断食が約1ヶ月間ある。断食月こそ飲食店の”掻き入れどき”だということだ。その準備を必ずしておくことだ。

 断食月はラマダン(Ramadan)と呼ばれ、世界中のイスラム教徒が断食という神聖な修行に入る。断食_の始まる日と終わる日はそれぞれの国によって1~2日は変わってくるが、約1ヶ月間も続く。断食月には、朝5時ごろから夕方の6時頃までの間は、水を飲むこと、食事をすること、タバコを吸うこと、性行為などが禁止される。

 飲食店としては午後6時からが勝負になる。午後6時ごろになり、ハザーンと呼ばれる放送が多くのモスクのスピーカーから流れる。これが断食明け(ブカ・プアサ)の合図だ。一斉に水を飲んだり、食事をしたりする。

 モールにあるレストランは5時_ごろから家族一同で席取りが始まり、注文したものを目の前にしながら6時になるのを待っている。さらに、店外にも並んで待っている人で溢れかえる。

 逆にランチタイムには、ほとんど来客はない。断食している時間帯の飲食店では、イスラム教徒に気を使って、昼間には食事をしているところを見せないためにカーテンなどで覆っているからだ。

 つまり、昼間の時間と午後6時からの繁忙期の差が非常に大きい。さらに、従業員もイスラム教徒が多いので、6時になったら食事をしたいと思っているのだ。この状況をまず受け入れることだ。

従業員には「なんでこんなに忙しいのに、食事しているとは何事だ!」と怒らず、時間差で食事を取らせてあげることだ。お客さんには提供してから少し時間が経っても美味しく食べれるメニューを提案することだ。

 従業員も断食明けの休みには田舎に帰りたがるので、期間をシフトして長期休暇を取らせたりするなどの調整が必要になる。

 ランチボックス形式にして、午後4~5時ぐらいに店頭販売やデリバリーできるようにする。さらに、断食明けすぐにはガツンと食事できないので、飲み物を提供する。断食月特有の飲み物メニューを加えることだ。一般的には甘い飲み物で常温のものがよいだろう。

 断食月には、以下準備が必要だということだ。

・昼間に外部から見えないようなカーテン
・従業員のタイムシフト
・断食月専用の特別メニュー
・デリバリーの体制

 これらを準備しておくことで、断食月で上を伸ばすことができるのだ。

   

8.案内人は笑顔美人を配置せよ

 レストランの店頭にいる案内人(ホスト)には、いつも笑顔の美人にやってもらうことだ。日本式サービスの典型がこの案内人であるが、特にランチから夕方までの時間帯には、ヒマにしている男性が多くいる。彼らを呼び込むためだ。

 日本では、平日の昼間からぶらぶらしている男性はあまり見かけないが、インドネシアの場合には逆転する。私の感覚からいうと、男性と女性はほぼ同数ぐらいだと感じている。土曜日や日曜日には家族全員で外食することが多い。また、5~6人の友人同士で連れ立って食事をする光景もよく見かける。

 女性も、キレイな女性から案内されたら悪い気はしないし、男性は外見で判断するからだ。さらに、笑顔で話しかけられると良い気分になってしまう。

 だから、従業員を雇う時には、学歴や知識だけで選ぶのではなく、案内人にふさわしい人を何人が雇うことだ。ただし、容姿だけで採用することは禁止されているので、ローカルの人事担当にはわからないように、あなたが面接し決定することだ。

   

9.ドアノブに手をかけて交渉する

 インドネシアのパートナー探しでは、すぐに交渉から去れるようにドアノブに手をかけた雰囲気で話してほしい。

 インドネシアで飲食店として投資をするには、小売業保護のため現地のパートナーがどうしても必要だ。外資企業の出資上限は51%で、資本金額も約2,300万円以上も必要で、制限も多い。だから、多くの飲食店はフランチャイズ契約をして、現地企業に技術的なアドバイスや実質的な運営をすることになる。

 その状況で、こちらから求めることを了承してもらえないのであれば、すぐに交渉決裂だという感覚でやってしい。「知人や友人などから紹介されたから」とか、「せっかく見つけてきてくれて申し訳ない」という気持ちは一切捨てることだ。

 現地のパートナーは、たくさん存在する。今話しているパートナー候補と契約しなければならないということは決してない。それがいくら大手や財閥であってもだ。ドアノブに手をかけて交渉に入ったら、相手も一つ一つの言葉や態度、交渉内容については真剣になるのだ。

 このパートナー選びは、インドネシアで飲食店を開業するための最重要項目になる。

 だから、パートナー選びには、数十人と話すというぐらいに思ってほしい。彼らの隠されたミッション、ビジョン、熱意、成功させようという意欲、性格など、文書では表せない雰囲気を感じながら話すことだ。

 もし、ほんの少しでも不審に思えたら、すぐにドアを開けて帰ることだ。その雰囲気を出していれば、私たちも真剣になるし、相手も真剣になってくるのだ。

   

10.パートナーは裏切ると思え

 当初、どんなに素晴らしいパートナーと合弁できたとしても、相手を信じ切ってはいけない。

 2015年の新幹線の導入で、中国に負けてしまった。それまでの5_年以上も前から、現地資質調査や協力関係を築いてきたにもかかわらず、中国に横取りされた形になってしまった。政府のプロジェクトにおいても裏切られることがあるのだから、民間会社としても同じことが起こってもおかしなことではないのだ。

 だから一転して最初から「裏切って当然だ」と思うことで、大事なところが見えてくる。それがお金なのか、技術なのか、極秘調味料なのか、権利なのかどうかはわからないが、常に気を配ってチェックすることになる。

 例えば、たった一人でジャングルに入っていったと想像してほしい。地上には_血を吸うヒルや、毒ベビ、トカゲがいるし、毒を持った植物もある。さらに、ライオン、ヒョウ、水牛、ハイエナ、タカや鷲からも狙われているということだ。その中で、現地のヤリを持ち、ペニスサックをした裸族たちと仕事をしていると思えば、夜中に縛られて生贄にされてもおかしくない。

 相手はどうやってあなたの資源を奪い取ろうかと常に考えているのだ。だから、会計は主導権を持てるのか、一番重要な技術やレシピは何かをいうことをはっきり区分けしておくことだ。契約提携後であっても気は抜けない。

 具体的には、売上金や、現金の取り扱いを契約段階から交渉しておくことだ。

   

11.現地アドバイザーを雇え

 インドネシアでの飲食店を開業するためには、信頼できる現地のアドバイザーを雇うことだ。現地に精通し、在住している進出コンサルタント、会計事務所、弁護士だ。日本ではそれほど必要性は感じていない飲食関係者がいるが、インドネシアでは彼らは必須だ。

 インドネシアに進出するということは、一人でジャングルに入っていくことと同じだ。ガイドなしで、ジャングルの奥地の宝を見つけ出そうとしても、落とし穴や猛獣や伝染病にかかってしまい、絶対にうまくいかない。

 彼らを雇うことは絶対だと言ってもいい。

 インドネシアの場合、法律はあいまいで、担当者によっても解釈が変わるし、いたるところで裏金を要求される。もし、こちら側が正しいと確信できる事でも、どこかのプロセスでお金が必要になってくる。それらの問題をうまく解決してくれるアドバイザーは、あなたの唯一の味方なのだ。

 現在では、日本人の会計士や弁護士が在住しているので、何人かと面談し決めてほしい。

 なお、アドバイザーの選定を間違えると、金品を持ち逃げされることもあるので注意してほしい。よくあるのは、日本人で「私は◯◯省の役人と仲が良いから、大丈夫だ。彼に◯◯円あげれば、なんでも許可が下りる」などと豪語してくる輩だ。日本人だから信用できると思ってはいけない。しっかりと身元を確認しておくことだ。

 インドネシアに進出するには、信頼できるアドバイザーは必ず必要なので、今からでも探し始めることだ。

 以下、インドネシア関連のコンサルタントをまとめた。

1.まとめサイト

出島(まとめサイト)
ヤッパン号(まとめサイト)

2.調査

海外市場調査研究所(調査)
ストラテギック・ディシジョン・イニシアチブ(調査)
エスノグラフ(調査)
カラック・コンサルティングアジア(調査・進出)
プルーブ(調査・進出)

3.進出

GSE(飲食店アジア進出)
インドネシア総研(インドネシア専門コンサル)
AGS(進出・翻訳・パートナー探し:インドネシア専門)
シナルリングア(ビザ・進出:インドネシア専門)
海外進出アドバイザーズ(フォーバルグループ)(調査・設立)
A&A プロフェッショナル(進出・会計)
クロスインデックス(進出・翻訳)
モンドグローバル(進出)
SBI マーケティング(調査・進出)
K2インターナショナル(進出:東ジャワ島専門)
フォワード・インターナショナル(進出・人材)
トヨダ・コンサルティング(進出)
NCBリサーチ&コンサルティング(進出)
大和総研グループ(調査・コンサル)
アビームコンサルティング(進出・経営)
船井総研(コンサル)
Cakra Mitra Internasional(進出・ビザ)
矢野経済研究所(調査・パートナー探し)
BTグループアジア(パートナー探し)
プリマ・ストラット(進出)

4.会計・税務・法務

株式会社 東京コンサルティンググループ(会計・法務)
あすな会計事務所(会計)
AMPジャパン・コンサルティング(会計)
フューチャーワークス(進出・会計:インドネシア専門)
小林・弓削田 法律事務所(進出・法律)
JAPAN ASIA CONSULTANTS(会計・進出)
ONITSUKA MANAGEMENT CONSULTING(会計)
MUC Consulting Group(税務)
Fair Consulting Indonesia(会計)
GLC Consulting(法律)
インドマルコ(経営)
INTERPROFESI SERVISINDO(企業秘書)

5.人材

セルナジャヤ(人材)
PT. Fuji Staff Indonesia(人材)
JAC ビジネスセンター(人材)
Kosaido HR INdonesia(人材)
アイコニック(人材)
RGF HR Agent(人材)
Inteligence HR Solusions Indonesia(人材・進出)

【その2】に続く

 

執筆:島田 稔(しまだ・みのる)
大手電機メーカーの技術者としてインドネシア在住9年。その後インドネシアで独立し
現地法人を立ち上げる。2冊商業出版し、現地企業や宗教家などと太いパイプを持つ。
現在はセミナーや執筆、翻訳、進出企業支援を行なう。
ビジネスインドネシア(http://bizidnesia.com/)にて情報を発信している。

お問い合わせはメールでお願いします。
langkah.pasti3@gmail.com

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