〔目次〕 ASEAN各国のコト/日本の動き/経済指標/これからの予定
【タイの新憲法の行方】
2014年5月22日の軍部によるクーデターで成立したプラユット暫定首相による軍事政権は、民政移管を約束しており2017年7月には総選挙を行う予定だ。その前提となる新憲法の策定作業が進んでおり、3月29日、新憲法の最終草案が公表された。
タイでは歴史上最も民主的だと言われた1997年憲法があったが、その後クーデターにより停止。2007年憲法が施行されていた。しかしながら2014年5月のクーデターでこの憲法も停止され、現在新憲法の制定に向けて作業が続けらている。
2015年9月には、新憲法草案が作成され、国民投票前の国家改革議会の投票で否決されている。草案作成を担った委員会も国家改革議会も軍部による指名者により構成されているため、草案提出と否決の流れは、軍政による時間稼ぎだとも言われていた。
その後、新たに一から草案作成作業に入り、2016年1月には第一次案を公表。それに対する意見を受けて作成した最終草案を3月29日に公表している。この最終草案は「民政移管のための移行期間としての5年間」としながらも、上院議員の任命制や首相の下院議員以外からの就任、さらに上院の首相選挙への参加など、軍部による実質介入の色が濃いものとなっている。
今後8月7日に国民投票を行う予定だが、既にタイの二大政党である「タイ貢献党」(タクシン派)と「民主党」(反タクシン派)が、草案に対する反対意思を表明しており、国民投票で可決される可能性は低いとみられている。
現在2017年7月には総選挙を行い、民政移管を予定しているタイだが、再度その予定は先送りになる可能性もある。
〔関連記事〕
○ASEAN各国のコト
〔ASEAN〕
〔インドネシア〕
- マレーシアの衛星テレビ大手「アストロ・マレーシア・ホールディングス」は、マレーシア政府系通信大手「アシアタ・グループ」の「アシアタ・デジタル・サービス」と提携し、インドネシアでインターネット動画配信サービス「トライプ」を開始した
- ジャワ島中部バタンでJパワーや伊藤忠商事が出資する石炭火力発電所の建設工事が4月1日に本格着工する見通しとなった。土地収用問題で着工が約3年半遅れていた。昨年8月にはジョコ大統領が起工式を開いた
〔シンガポール〕
- 移動通信・ケーブルテレビ大手の「スターハブ」は、同国の映画・テレビ番組制作大手「mm2アジア」に出資し、発行済み株式の9%を獲得する
〔タイ〕
- LCCのハブ空港「ドンムアン空港」の第2ターミナルを開業した
- 国営「タイ空港会社(AOT)」は、バンコクのLCC拠点であるドンムアン空港の拡張に270億バーツを投じることを決めた。2025年までに旅客処理能力を33%増の4千万人に引き上げる
- 同国の砂糖製造大手「ステック・エンジアリング」とロシアのハバロフスク地方政府の間で行っている、BOT(建設・運営・譲渡)方式による砂糖工場交渉が大詰めを迎えている
- タイ下位銀行のランド・アンド・ハウス(LH)銀行の親会社に中国信託商業銀行が166億バーツ出資し、35.6%の筆頭株主となる。中国信託銀行は東京スター銀行の親会社
- 新憲法草案が3月29日に公表。軍政による支配色が強いものに。8月には国民投票〈※関連記事〉
〔フィリピン〕
- マニラの南にあるラグナ湖沿い47キロメートルの堤防に6車線の高速道路を建設する27億ドルの官民パートナーシップ(PPP)方式が、入札資格を持つ3者による応札が3月28日までになかったことで入札不成立となった
〔マレーシア〕
- マレーシアの衛星テレビ大手「アストロ・マレーシア・ホールディングス」は、マレーシア政府系通信大手「アシアタ・グループ」の「アシアタ・デジタル・サービス」と提携し、インドネシアでインターネット動画配信サービス「トライプ」を開始した
- 自動車大手「プロトン・ホールディングス」は3月31日、元首相のマハティール氏(90)が同社会長を辞任したと発表した
〔ブルネイ〕
〔ベトナム〕
- ベトナム軍隊通信グループ(ベトテル)はミャンマーのインターネット接続サービス大手「ヤダナポン・テレポートグループ(YTP)」などと企業連合を組み、ミャンマーの携帯電話市場に参入する。ミャンマー通信・技術省が3月25日に事業者免許の交付方針を明らかにした
〔ミャンマー〕
- 3月30日、ティン・チョー大統領が正式就任〈※関連記事〉
- 政権与党・国民民主連盟(NLD)は3月31日、アウン・サン・スー・チー氏のために新たに「国家顧問」の役職を設ける法案を国会に提出した。国家顧問は国政全般について大統領や他の閣僚に助言する役割を持つ
〔ラオス〕
〔カンボジア〕
○日本の動き
- 自動車などの工具専門店を展開する「ワールドツール」(埼玉県深谷市)が3月末にタイ・バンコク市に進出する
- マルハニチロは3月28日、マレーシアのエビ養殖子会社を同日付で売却すると発表した〈ニュースリリース〉
○経済指標。
- ベトナムの2015年貿易収支は35億3700万ドルの入超で、4年振りの赤字となった。国内の工業や建設業の需要増加に伴う機械や部品の輸入が拡大した。対日貿易も5年振りの赤字となった
- 東南アジア主要6カ国の2月の新車販売台数
※ベトナムが35カ月振りにマイナス成長となった国名 台数 前年同月比(%) インドネシア 88,250 ▲0.6 タイ 57,093 ▲11 マレーシア 37,876 ▲25 フィリピン 28,165 20 ベトナム 11,718 ▲5 シンガポール 5,734 98 合計 228,836 ▲5 - アジア開発銀行(ADB)による経済成長率見通し(3月30日発表)
出典:『アジア経済見通し2016年版』(ADB)2015年 2016年 2017年 東南アジア10カ国 4.4 4.5 4.8 インドネシア 4.8 5.2 5.5 タイ 2.8 3.0 3.5 マレーシア 5.0 4.2 4.4 フィリピン 5.8 6.0 6.1 ベトナム 6.7 6.7 6.5 ブルネイ 1.0 2.5 カンボジア 7.0 7.1 ラオス 6.8 7.0 ミャンマー 8.4 8.3 シンガポール 2.0 2.2 ベトナム 6.7 6.5 - インドネシア中央統計局は4月1日、3月の消費者物価指数が前年同月比で4.45%上昇したと発表した。
〔これからの予定〕
- 3月29日
・タイ、新憲法の最終草案公表 - 3月30日
・ミャンマー、政権移譲式典 - 4月1日
・インドネシアの3月の消費者物価指数 - 4月2日
・ダジャン祭り(水かけ祭り)(東京 日比谷公園) - 4月12日
・「TECH IN ASIA」が起業家支援イベント開催(シンガポール)
・ミャンマー祝日:水祭り Maha Thingyan Festival (~16日) - 4月13日
・タイ祝日:灌仏節 Songkran Festival (~15日)
・カンボジア祝日:クメール正月 Khmer New Year Day (~16日)
・ラオス祝日:ラオス新年 (~15日) - 4月17日
・ミャンマー新年(祝日) - 5月9日
・フィリピン大統領選投開票(フィリピン)
○他の記事も読む○
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