(連載)「インドネシアの生活風景」   (8)すだれ屋さん

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こちらでは家のベランダや窓の日よけ用のすだれを売り歩いているおじさんをよく見かけます。
「クレイ、クレイ!」といってバイクで、ちょっと前までは自転車を使っていました。(インドネシア語ですだれはクレイです。「すだれをくれい!」駄洒落ですみません。(笑)

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このすだれやのおじさんは毎日三時ごろから家を出発して、五時半ごろまで仕事をします。三十八歳で二人の子供の責任感いっぱいのお父さんです。

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バイクの横に繋げた荷台の上に役20本あまりのすだれを乗せています。こちらでは一般に簾は竹かパーム類のルンビアという木の皮から作られています。
サイズは幅3メートル長さ2メートルのと幅2メートル長さ2の二種類あります。
値段は大きいのが二十五万ルピア、小さいのが二十万ルピアです。日本円で約二千円ちょっとですね。取り付け作業代込みです。

一本売れたら、彼のもうけは四万五千ルピアだけです。
今回は近所の家の人がいままで使っていたすだれがボロボロになってしまったので、新しいのを取り付ける作業を見せてもらいました。

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まずすだれを一本荷台から取り出してきた用意してきた紐をすだれの二ヵ所に結びました。
それからほそいからだで、十分重そうなすだれを軽々持って梯子に乗って起用にベランダの上部の板に釘で取り付けます。
まずすだれの幅の中部に釘を打って安定させてから左右にも釘を打ちます。
しっかり取り付けたのを確認してから、はしごから降りて紐がちゃんとすだれの上下を動かせるか確認します。紐を柱に結んでから一つの取り付け作業は終わります。

今回はベランダと部屋の前の窓にと二本取り付けてもらいました。●IMG_1398
一本取り付けるのに15分かかりました。

ごくろうさま。紅茶をどうぞ。

今回は一階建ての家なので、あまり大変じゃないということ。時には二階、三階建ての窓に取り付けるときはやはり手伝う人が必要だそうです。

おじさんはときどきアチェ方面(スマトラ島の最北部にあるアチェ州)から注文があるときはこのオンボロバイクで何時間もかかって行きます。
そのときは40本ぐらいの簾を運んでいきます。疲れたら、途中のガソリンスタンドで仮眠を取ります。
でもアチェではメダンの倍近くの値段で売れるから、一年に二回ぐらい行きます。どんなに大変でも。すごいですね。

簾売りをしてから六年になりますが、以前はゴミクズ回収やさんになっていたこともありました。また靴を作っていたこともありました。

ところでこの日本製のバイクちょっと注意して見てください。

車検の有効期限が切れていますが、いままで交通取り締まりのおまわりさんに捕まったことはないそうです。警察もおじさんを見て、まあ、いいやと思うのかもしれませんね。(笑)

おじさん、これからもがんばって!

 

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著:Lily Fatma (リリー・ファッマ)

 逗子生まれ。父親はインドネシアの北スマトラ出身、母親は日本人で横浜生まれ。小学校と中学校は日本の教育を受け、その間も外交官の父についてインドネシアと日本を往復。高校在学中に在日インドネシア大使館を退職した父について帰国。現在はメダンで高校生、大学生、一般の人に日本語を、そして日本人にはインドネシア語を教えている。

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