(連載)「インドネシアの生活風景」   (9)マンゴー買い取りおじさん

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こちらには個人的に一般の住民の家の庭、畑などに実っている果物、野菜などを買いに来る人がいます。果物などがまだ充分に熟していない木を見つけて、家の主に「売らないか」と聞いて回ります。
まとめて低価格で買い取ってから、特に市場や果物屋、店などに売りに行きます。

今回は知り合いの家の庭の木に実っていたマンゴーを買い取りに来たおじさんのことをお話します。

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写真のマンゴーはクイニという種類ですが、●マンゴーの皮をむいた形マンゴーの中で王様とされているアロ・マニスよりはちょっと小さめですが、味はずっと濃くて、ちょっと苦味がある種類です。香りが強くて、皮を薄く切ってお皿の上に置いておくと、家中このマンゴーの香りに包まれるようです。甘酸っぱい香りです。ところでまた駄洒落ですみませんが。クイニを食いに行こう(笑)

木に登る助手

木に登る助手

●IMG_1484

いっぱいのマンゴー

  このおじさんは知り合いの家の前をバイクでもう八回も通っていたそうです。でもいつも家主のおばあさんに断られたり、だれも出てこなかったりでちょっと疲れぎみだったそうです。
でもそれはさすが商売気質!あきらめずに、毎日通い、ある日おばあさんがちょうど庭に出ていたところを見つけ、うまく声をかけて、やっと承諾を受けたそうです。
今年はクイニの実が多めに実ったので、いくら友達や親戚などに分けたとしても、まだまだ残って、腐ってしまうのはもったいないと思ったのでしょう。
おばあさんは一つ返事でオーケーし、おじさんはホクホク顔。。

助手の若いお兄さんを20年あまり立った登りにくい木(20メートル近くの高さ)にスルスルと登らせました。麻袋を木の枝にひもでぶら下げて、実をそこに入れてから、いっぱいになったら、その袋を何回も下に降ろし、40分ぐらいで大きなダンボール箱と一つの麻袋いっぱいになりました。

不思議なのは天秤も量りもないのにまあだいたいこのぐらい!と決めてしまうことです。こちらではボロン(まとめ買い)といっていますが、売り手も買い手も別に文句ないようです。まあ、自前に両方で値切ったり、高めにいったりするんでしょうけど。。そのやり取りは残念ながら聞きませんでした。
100キロ以上はあると見ましたが。。市場やスーパーなどでは1キロ一万から一万五千ルピアぐらいで売っています。特にマンゴーの季節だともうちょっと安くなります。おじさん、大いに儲けてくださいね。
マンゴー取り作業が終わってから、おじさんたちは日本製のもう十年以上は使っているようなバイクの操縦部に袋、それから運転するおじさん、その後ろにダンボールいっぱいのマンゴー、そして一番後ろに助手のお兄さんが乗りました。

バイクに荷積み

バイクに荷積み

お兄さんは箱を押さえて座るのも精一杯。危なっかしい! 今にも倒れそう!マンゴーもこぼれそう! でも不思議。。スルスルと超ゆっくりですが、アクロバットのおじさんたちはたしかにバイクで走って行きました。一番近い市場まで持っていくそうです。
目的地まで無事に着いてくださいね!

 

 

 

 

 

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著:Lily Fatma (リリー・ファッマ)

 逗子生まれ。父親はインドネシアの北スマトラ出身、母親は日本人で横浜生まれ。小学校と中学校は日本の教育を受け、その間も外交官の父についてインドネシアと日本を往復。高校在学中に在日インドネシア大使館を退職した父について帰国。現在はメダンで高校生、大学生、一般の人に日本語を、そして日本人にはインドネシア語を教えている。

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