南シナ海を巡るASEAN諸国と中国の問題

 南シナ海を巡り、ASEAN(東南アジア諸国連合)諸国と中国との間の緊張感が高まってきています。特に領土問題に直面しているフィリピン、ベトナムにとっては重要な問題です。

 フィリピンの首都マニラのあるルソン島のスービック湾から西に約200km離れたところにあるスカボロー礁(中国名:黄岩島)には、中国が2012年から艦船を停泊させて実効支配しています。このスービックはフィリピン政府により経済特区として整備されてきているところです。

 また、ベトナムは、西沙(パラセル)諸島や南沙(スプラトリー)諸島で埋めたてを続ける中国との間で緊張関係が続いています。ベトナムにとって中国は最大の貿易相手国でもあり、中国との経済的関係は大切にしたいながらも、領土問題など外交では警戒感を強めています。

 これまで南シナ海問題では表に出てこなかったマレーシアもルコニア礁近くに軍の艦船を派遣したというAFP通信のニュースも流れているようです。

 ASEAN関係国の南シナ海問題に関する中国への批判態度は、フィリピン、ベトナム、マレーシアの順に強く、シンガポール、インドネシア、カンボジアと弱くなってきています。

 ASEAN10か国はいずれも、中国が主導するアジアインフラ投資銀行(AIIB)の創設メンバー57カ国の中に顔をならべています。経済的には中国に頼るところも多いASEANの国々にとって南シナ海の中国との領土問題は悩みのタネと言えるでしょう。

 

〔参考記事〕

 

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