【連載】建国50年のシンガポールにて2015(3)

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第3話: シンガポーリアンは日本人より親切で騒々しい!? 
(有澤和歌子)

 シンガポールのメイン交通機関MRT(モノレール)に乗って驚いたことは、お年寄りや妊婦に席を譲る人が本当に多い事だ。こんなことで驚くのはちょっと情けないのだが、約30年間毎日電車通勤をしていたのだから、日本との対比が簡単にできてしまう。たとえば私の直近の通勤ルートは東急田園都市線を利用し永田町で乗り換えて市ヶ谷まで通っていた。徒歩を含めて片道75分ほどである。シンガポールではYewTee(ユー・ティ)駅近辺に住んでいて、ClarkeQuay(クラーク・キー)まで通っていた。こちらは約65分。

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arisawa singapore 3-1 日本では1週間に1回ほど誰かに席を譲る人を見た。(自分を含めて。)しかし、シンガポールでは平均すると片道に1回は席を譲る人を見た。1か月で換算すると、日本は4回でシンガポールは80回。これは親切というよりは自然の行動であり、反射的なものかもしれない。(そのほうがもっとすごいですね。)arisawa singapore 3-2

 シンガポールのMRTではドアの両側の各1席がすべてReserved Seatとなっている。一般的な日本の電車では車両の一番前と一番後ろの各3席、計12席が1車両あたりの優先席だ。シンガポールでも優先席の席数については日本とあまり変わりはない。開閉ドアの隣がすべて優先席なため、目につきやすいし、席を替わりやすいことも席を譲ることの多い理由の一つであると思う。優先席が目に触れる確率が高い、席を代わるという行動がとりやすい、行動している人が目に入りやすいといった、デザイン性の高さも行動への影響力を持っているように思える。「優先席付近でのスマホ禁止」表示はないし、アナウンスもなかった。


arisawa singapore 3-3 そして、この国でもスマホ利用者は多く、携帯電話を利用している人は見なかったので、車内でうつむいている人はほとんどがスマホを利用しているか、タブレットで動画等を見ていた。座っている人が全員スマホを見ているという光景もよく見た。ホームは全て車両ドアとホームフェンスがついているので、ホームに落ちるということはないのだが、このようなポスターはいたるところにあった。世界的な「歩きスマホ問題」を最初に解決するのはどこの国だろうか?

 さて、そんな親切なシンガポーリアンでも電車の中はかなり騒々しい?理由は会話時の発音にもある。中国系シンガポーリアンが多いため、中国語であってもシングリッシュ(シンガポール鉛の英語)であっても、撥音と早口でまるでけんか腰の会話に聞こえるのだ。その上、電車の中のスマホ通話は禁じられていないため、普通に電話で相手と話をしている。そんなわけで、一人でも二人でも話してまくっている人たちが多い。が、たとえ満員電車の中でも喧嘩になったのは見たことはなかった。arisawa singapore 3-4

 私の利用する東急田園都市線はスーツをピシッと着ている会社員の多い電車だが、よく満員電車で押したとか肘で小突いたと口げんかが始まったり、男性会社員が女性に対して「おばさん、いい加減にしてください」とどなったりをよく見かけるが、これもデザインで何とかなる部分があるのではないかと、シンガポールの電車に乗って思い当たった。

 日本ほどの混雑はなかったが、シンガポールでも朝の通勤電車はかなり混雑している。国民性が関係するのか、シンガポールの電車ではいがみ合う大人はいなかった。

続く

著:有澤和歌子(ありさわ・わかこ)
wombプロジェクト代表、idiscover設立準備中
 旅行・海外出張で50か国を訪問。近年はアジア、特にASEAN・中国を中心に活動。富士通ではマーケティング、ITベンチャーのホットリンクでは広報責任者として従事した。自身の晩婚・不妊治療・高齢出産の経験より「卵子の老化」を若者に伝えることがライフワーク。富山県出身、青山学院大学経営学部卒。

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