【週刊 ASEANのコト】 #4 (2016/2/28)


〔特集〕 「2016年ASEAN議長国 ラオス」
 〔主な出来事〕 ASEAN各国のコト日本の動き統計情報
 〔これからの出来事〕 


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【2016年ASEAN議長国 ラオス】

 東南アジア諸国連合(ASEAN)に最後に加盟した3つの国のひとつであるラオス。正式名称はラオス人民民主共和国。1975年以降ラオス人民革命党による一党支配が続いている。人口約680万人でシンガポールより少し多い程度。国土は日本の約63%だが、その70%は山岳や高原。中国、タイ、ベトナム、ミャンマー、カンボジアに囲まれ、ASEAN10か国の中では唯一海岸に接していない国。

 このラオスが、2016年のASEAN議長国である。

○ASEAN議長国

 ASEANの議長国は原則として1年任期で順につとめることになっている。2015年の議長国はマレーシアだった。ラオスが議長国を務めるのは2004年以来2度目。

 近年の議長国は以下の通り。

2015年マレーシア
2014年ミャンマー
2013年ブルネイ
2012年カンボジア
2011年インドネシア

 

 議長国になると国内での国際会議開催が増える。今年ラオスで400のASEAN関連会議の開催が予定されているという。周辺各国からはもちろん、世界各国から人が集まることになる。

○ベトナムとの関係、中国との関係

 ラオスは隣国ベトナムと「特別な関係」にあると言われている。1962年9月5日の両国外交関係樹立以来その関係は続いている。ラオスのカイソン・フォムビハン人民革命党書記長とベトナムのホーチミン首席の時代からだ。

 ラオスは「タイ+1」という言葉で表現されてるように、経済圏としてはタイの延長上の国とみられている。そのタイとの関係を「ラオス人にとってタイは長兄。時々おこられるし、たたかれることもある。それでも血を分けた兄弟だから最後はわかり合える関係」だというサワナケット大学のアドバイザー・国際協力機構(JICA)客員専門員の宮田伸昭氏の言葉を『産経ニュース』が紹介している。

 ラオスとタイは民族的につながりが強く、歴史的、文化的にも共通点が多いと言われいる。そして言葉も通訳なしで会話できるともいう。

 また、宮田伸昭氏はラオスとベトナムの関係を「(ラオス人にとって)ベトナム人は隣に住む大学卒のお兄さん」と表現している。「勉強もできるし、働き者で偉いと思うが、自分はそこまでやらないし、所詮は他人という関係」だという。

 一方、中国との関係も深い。ラオス北部で約400キロメートルにわたって中国と国境を接する。1961年にラオスは中国は国交を樹立したものの、その後関係は悪化。しかし1988年に国交回復し、その後経済や安全保障面で中国に依存するところが多い。

○最高指導者交代の新しいラオス

 今年1月、ラオス人民革命党の党大会が開催され、2期10年の任期をつとめたチェンマリ党書記長の後任が決まった。ブンニャン国家副主席が後任として最高指導者となる。同氏は親ベトナム派と言われており、今回の党書記長交代にともなってチェンマリ派の幹部の多くは引退や降格となったようだ。

 中国の実質支配が進んでいる南シナ海の領有権問題では、フィリピンに加えてベトナムも強く中国を非難している。南シナ海問題については、ASEAN10か国の中でも温度差がある。ラオスは中国批判を避けている国のひとつ。

 新しく党書記長に選ばれた親ベトナム派のブンニャン氏率いるラオスが、議長国としてどうASEANをまとめていくか注目される。

〔主な出来事〕  

○ASEAN各国のコト

ASEAN logo

〔ASEAN〕

インドネシア

〔インドネシア〕

  • インドネシアの複合企業グループ「CTコープ」の主要小売部門の「トランス・リテール」が、シンガポールの政府系投資会社「GIC」から5兆2000億ルピアの出資(株式お約17%)を受ける
  • 伊藤忠エネクスが伊藤忠商事が開発しているカラワン工業団地に工場を建設し、周辺企業に産業用ガスを供給する
  • 韓国のロッテグループがインドネシアでネット通販事業に乗り出す。現地最大の財閥「サリム・グループ」と合併で今年6月までに運営会社を設立する

シンガポール

〔シンガポール〕

  • 双日がシンガポールの航空機リース会社「キーストーン・ホールディングス」の株式50%を取得 〈※関連記事

タイ

〔タイ〕

  • 「セブンイレブン」をタイで展開する「CPオール」の幹部。インサイダー取引で課徴金命令後の続投に主要機関投資家が反発 〈※関連記事
  • 住友倉庫が2016年度にタイ中部チョンブリ県に大型物量倉庫を新設する。投資額は13億円。これまでは中部のアユタヤを主な拠点としてきた
  • タイの商業施設運営「サイアム・ビワット」は改装中の商業施設サイアム・ディスカバリーの総合監修に日本人デザイナー佐藤オオキ氏を起用
  • タイガースポリマーがタイのアユタヤ県にある製造工場敷地内に新工場を建設する。同社の4つめの工場。空調や排気用の空気を通すエアコンダクトを生産する
  • 自動車部品向け特殊鋼線材の大手神戸製鋼所がタイの鉄鋼メーカー「ミルコンスチール」と2017年5月以降にタイで折半出資会社を設立する合弁契約を結んだ

フィリピン

〔フィリピン〕

  • 5月の大統領選挙に向けて候補者の公開討論会が2月21日開催 〈※関連記事

マレーシア

〔マレーシア〕

  • ポーラ・オルビスホールディングス傘下の「アクロ」(東京・品川)がマレーシアに進出する。4月15日にクアラルンプールのショッピングセンターに「スリー」直営店を開業。同社はすでにタイなどには進出済み
  • 富士重工業はマレーシアでSUV(多目的スポーツ車)の生産規模を5倍の年間約15,000台に引き上げる。マレーシア国内に加え、タイ、インドネシアの3カ国を中心に出荷
  • マレーシア政府系通信大手「アシアタ・グループ」は2015年12月期決算で純利益が前年比8%増の25億5400万リンギを発表

ブルネイ

〔ブルネイ〕

ベトナム

〔ベトナム〕

  • ベトナム外務省のレ・ハイ・ビン報道官は2月25日の定例記者会見で、中国による南シナ海での行動について2月26日から始まるASEAN外相会議で議論される見通しであると語った
  • 家庭紙製造のイデシギョー(静岡県富士市)は、ベトナムで紙おむつなどに使う吸水紙の生産能力を拡大する。同社はベトナム北部のハナム省に昨年10月に初の海外工場を稼働。現地法人「ニットクベトナム」(キムバン県)が運営している
  • 日本ベトナム友好協会川崎支部がベトナムに中古自転車325台を輸出する。これまでに1万1628台を輸出している
  • ベトナムIT最大手のFTPと富士通が2月24日、IT農業普及拠点をハノイに開設
  • 東京急行電鉄はベトナムのビンズン省で進めている都市開発に関連して3月5日、新たに5路線のバス路線を開業する
  • 大和証券がベトナムのベトナム証券に追加出資し持ち分法適用会社に。マレーシアの投資銀行大手にも出資を検討

ミャンマー

〔ミャンマー〕

  • 韓国建設資材大手「ヨジン建設土木」がティラワ工業団地の開発会社「MJティラワ・デベロップメント(MJTD)」と土地の予約契約を結んだ。団地内にセメント工場を建設する
  • 中国と共同開発し、地元住民との衝突で操業停止していた北部ザガイン管区の「レパダウン銅山」の操業を5月に再開 〈※関連記事
  • アサヒグループホールディングスはミャンマーに自社ブランドの炭酸水「ウィルキンソン」の生産・販売で進出する。同ブランドの海外展開は初めて。地場飲料大手「ロイヘイン」と2014年に作った合弁会社を通じて展開する

ラオス

〔ラオス〕

カンボジア

〔カンボジア〕

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○日本の動き

  • 中国が南シナ西沙諸島に地対空ミサイルを配備したことを受け、日本政府は自衛隊をベトナムやフィリピンと連携させ南シナ海海域への関与を拡大。2月16日から18日には、アフリカ・ソマリア沖に派遣されていたP3C哨戒機2機をベトナムのダナンに寄港させ、ベトナム海軍と初めての共同訓練を行った
  • 経済産業省は米政府と連携し、テロ対策を目的とした貿易管理制度の整備をアジア各国で行う。まずはベトナム政府の担当者を日本に招き、法律の整備や規制対象品のリスト作りなどで支援する。費用は米国務省が負担する。
  • JETROがバンコクで2月24日、環太平洋経済連携協定(TPP)をテーマにシンポジウムを開催

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○統計情報

  • シンガポール通産省は2月24日、2015年の実質国内総生産(GDP、確定値)が2014年比で2%増と発表した。2016年の成長予測は1~3%で据え置き
  • 東南アジア主要6カ国の1月の新車販売台数は前年同月比4%減の23万8459台。タイは13%減の5万1821台、インドネシアは10%減の8万4885台、マレーシアは12%減の4万4591台。一方フィリピンは27%増の2万6925台、ベトナムも16%増の2万3165台だった

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〔こらからの出来事〕   

  • 3月1日
    ・インドネシアの2月の消費者物価指数発表
  • 3月21日
    ・「バンコク国際モーターショー」(タイ)(~4/3)

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〔Clisien ASEAN News Clips 編集部〕 


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