【週刊 ASEANのコト】 #11 (2016/4/17)

〔特集〕「迫るフィリピン大統領選の主要4候補」

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 〔目次〕 ASEAN各国のコト日本の動き経済指標これからの予定 


【迫るフィリピン大統領選の主要4候補】

 フィリピンの大統領選が5月9日に迫っている。フィリピンでは大統領の権限が強く、閣僚などすべてを代えることができる。そのため、憲法で再選は認められておらず2010年6月の就任以来、年平均6.3%という高い経済成長を実現してきたアキノ大統領も例外なく5月に6年間の任期を終える。

 就任以来実績を上げてきたアキノ大統領だけに、その後任への期待が大きいのもうなずける。

 昨年8月、アキノ現大統領は次期大統領候補としてマヌエル・ロハス内務・自治相を指名した。しかしながら知名度や国民からの人気は高くなく、苦戦を強いられるとみられている。同時期に野党連合からジェジョマル・ビナイ副大統領が出馬表明をしている。

 大統領選の主要候補者である4人についてまとめた。

1.グーレス・ポー上院議員(47)

 無所属の女性上院議員で、国民的俳優の故フェルナンド・ポー氏の養子。世論調査は最も人気が高い。立候補を表明した9月には、高い経済成長を実現した「アキノ路線」を引き継ぐと表明。議会で汚染を追及するなどクリーンな姿勢が評価されている。ただし政治家としての経験の浅さの指摘もある。

 教会に赤子時代に置き去りにされたグレース・ポー氏は、「映画王」と呼ばれた俳優のフェルナンド・ポー氏に養子として引き取られる。米ボストン・カレッジを卒業後米国に住んでいたが、フェルナンド氏の死をきっかけにフィリピンに戻り、2013年に上院議員として初当選。夫は米国との二重国籍を持つITコンサルタントで3児の母。

 昨年12月には、大統領候補として必要なフィリピンでの居住期間が不足しているとして、フィリピン選挙管理委員会から出馬資格が取り消されましたが、ポー氏は異議を申し立て、今年3月に最高裁判所が同氏の出馬資格を認定している。〈※関連記事

2.マヌエル・ロハス前内務・自治相(58)

 アキノ大統領と同じ自由党に属し、アキノ大統領が後継指名している。大統領を祖父に持つ。ニューヨークで投資銀行に勤めたエリートでもある。2010年の大統領選挙でも有力候補だったが、アキノ大統領が母の死をきっかけに出馬したため、譲った。そのいきさつもありアキノ大統領が後継者指名したと思われる。

 ただ、ゴルフ場の横柄な発言が報じられるなどエリート臭が嫌われていることもあり、支持率は高くない。ただ、フィリピンの経済成長は起動にのったばかりで現政権の政策継承が重要な時期であり今後巻き返しが考えらえる。

3.ジェジョマル・ビナイ副大統領(73)

 副大統領就任中に全国行脚により地方の票固めをしてきている。今年に入り汚職疑惑が相次ぎ表面化しっ支持率を落としている。しかしながら、2000万人が住む南部ミンダナオ島など地方では圧倒的な人気がある。

4.ロドリゴ・ドゥテルテ ダバオ市長(73)

 ダバオ市長で元検事。国内最悪と言われてダバオ市の治安を回復させた。汚職や犯罪の撲滅が重点公約で、犯罪者の処分に関する過激な発言などで支持を伸ばしている。米大統領選で共和党指名争いを行っているドナルド・トランプ氏をなぞらえ、「フィリピン版トランプ」とも言われている。

 

 4月11日に公表された世論調査では、ドゥテルテ氏が支持率27%でトップ、ポー氏が23%で2位、ビナイ氏が20%、ロハス氏が18%と続いている。 

 

〔主な出来事〕  

○ASEAN各国のコト

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〔ASEAN〕

インドネシア

〔インドネシア〕

  • Jパワー、伊藤忠商事、アダロ・パワーの共同出資会社「ビマセナ・パワー・インドネシア」が4月12日、インドネシア・ジャワ島中部で計画する大型石油火力発電所の融資契約期限を6月6日まで延長したと発表。もとの期限は4月6日までだった。周辺住民の反対で土地収用が進まず計画は3年以上遅れているが、今年3月までに融資の前提であった土地収用も完了。近く着工する見通し
  • 通信大手「テレクミニカシ・インドネシア(テレコム)」が、2016年に前年の4倍以上となる2500万ドル以上を拠出し、スタートアップ企業十数社を支援するプログラムを実施する
  • 米ウーバーテクノロジーズはジャカルタで二輪車タクシー(OJEK)の配車サービスを開始 〈※関連記事
  • 東日本旅客鉄道(JR東日本)の子会社「日本コンサルタンツ」が4月14日、ジャカルタ地下鉄公社よりMRT南北線の運営維持管理コンサルティングの受注を発表した 〈※プレスリリース
  • シンガポール・テレコムの傘下の「HOOQ(フーク)」が、インドネシアで動画配信サービスを開始した。地元のメディア会社と提携し、1200本以上のインドネシア映画も提供する

シンガポール

〔シンガポール〕

  • シンガポール国会で「経済拡大奨励法(Relief from Income Tax Act)」の改正法案が可決され成立した。シンガポール政府が将来有望と認めた特定産業の創出や事業拡大に対する税制面での優遇措置が拡充された
  • ビジネス向け交流サイトの米リンクトインは、米国外で初となるデータセンターをシンガポールに開設した。投資額は8000万シンガポールドル。シンガポール西部に位置する。同社の世界の通信料の3分の1を取り扱う
  • ケッペル・コーポレーションの不動産子会社「ケッペル・ランド」は、ベトナムで廉価な住宅開発を行う「ナムロン投資(NLG)」と新株予約券付社債(転換社債=CB)の購入契約を結んだ
  • 就業体験のできる子供向けテーマパーク「キッザニア」がセントサ島にオープン。世界で23番目となる。東南アジアではすでにジャカルタ、クアラルンプール、マニラ、バンコクで開業している

タイ

〔タイ〕

  • 4月13日~4月15日、旧正月「ソンクラン」休暇。水かけ祭りでにぎわう 〈※関連記事

フィリピン

〔フィリピン〕

  • 日本の海上自衛隊の護衛艦「ありあけ」と「せとぎり」が4月3日、スービック港に寄港。その後ベトナムへと向かう
  • フィリピン著距離電話「Philippine Long Distance Telephone Company」が社名を「PLDT」に変更する 〈※関連記事
  • サンミゲルが工業団地を開発 〈※関連記事
  • プレナスは定食屋「やよい軒」をフィリピンに出店すると発表した。東南アジアでは2006年よりタイに進出しておりすでに144店(3月末現在)、そしてシンガポールにも2011年12月に出店して7店舗(同)を構える 〈※プレスリリース

マレーシア

〔マレーシア〕

  • イスラム教徒利用者を意識した新興航空会社「ラヤニ航空」が、運行の突然の取りやめや手書き搭乗券の発行などの規則違反により当局より運航停止命令を受けた 〈※関連記事
  • 広島、岡山、高松、松山の4市が共同で7月にマレーシアで物産展を開催。4市で構成する「瀬戸内4県都市」が主催し、現地イオンが会場となる

ブルネイ

〔ブルネイ〕

ベトナム

〔ベトナム〕

  • 日本の海上自衛隊の護衛艦「ありあけ」と「せとぎり」が4月12日に南シナ海に面したベトナム南部のカムラン湾国際港に寄港。海上自衛隊の同港への寄港は戦後初めて。ダナン港へのは近年ほぼ毎年寄港している
  • 国営の石油最大手「ペトロベトナム(PVN)」が、ベトナム南部で新たなガス田開発プロジェクトの工事に着手。投資額は100億ドルを超えるもよう。2020年第2四半期の操業開始を目指す

ミャンマー

〔ミャンマー〕

  • 岡山市に拠点を置く「両備ホールディングス」は、ミャンマーのティラワ経済特区(SEZ)に物流倉庫を建設する。今年11月にも着工し、2018年の春をメドに稼働させる。冷凍・冷蔵設備も備える
  • ロシアの石油大手「ルクオイル」がミャンマーの潤滑油市場に参入した。参入にあたりシンガポールの商社「ベイライン・ショッピング・グループ」傘下のアラブ首長国連邦(UAE)企業「コモディティ・コネクト」を代理店に指名した。今後年率2ケタの成長が期待されるミャンマーの潤滑油市場だが、正規ルートで輸入している海外企業は、タイ石油公社(PTT)グループなどに限られているという
  • 欧州のソフトウェア最大手の独SAPがミャンマーのIT関連企業「バンガード・ミャンマー」と官公庁向けビジネスで提携
  • 旧正月「ティンジャン」が4月12日~4月16日 〈※関連記事

ラオス

〔ラオス〕

  • 旧正月「ピーマイラオ」が4月13日~4月15日 〈※関連記事
  • 富山県の「ジャパン・フラワー・コーポレーション」がラオスで花・野菜を日本式農法で生産へ 〈※関連記事

カンボジア

〔カンボジア〕

  • 旧正月「クメール正月」が4月13日~4月16日 〈※関連記事

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○日本の動き

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○経済指標

  • インドネシアのマンディリ銀行が4月5日、インドネシアの2016年の実質経済成長率を2015年よりも加速する5.0%との予測を発表した。インドネシア政府は3.5%成長を目指している
  • ベトナムの外国投資庁(FIA)によると、2015年の対内直接投資(認可ベース、確報値)は新規・拡張合わせて3038件と前年比17.2%増となった。投資額は241億1500万ドルで同10.0%増。3年連続で200億円超。国・地域別では件数・金額ともに韓国が全体の約3割(1029件、69億8300万ドル)を占めトップ

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〔これからの予定〕

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〔Clisien ASEAN News Clips 編集部〕 


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