〔目次〕 ASEAN各国のコト/日本の動き/経済指標/これからの予定
【ミャンマーの民主政権 始動】
いよいよミャンマーの民主政治が始まる。3月15日に、ティン・チョー氏1962年のクーデター以降初めてとなる文民大統領に選ばれた。そして、3月22日には次期政権を担う閣僚名簿が発表された。3月30日には政権移譲式典が行われる予定である。
ミャンマーは1948年1月4日にイギリスから独立した。その後ネ・ウィン将軍が軍事クーデターを起こした1962年に社会主義政権が樹立し、その後軍事政権が続いていた。
2007年10月に軍出身のテイン・セイン氏が首相に就任。その後政治改革が進められ、2008年の新憲法案が国民投票で可決され民主化に向かって歩みだした。
2011年3月、テイン・セイン首相が大統領に就任。それまで権限を持っていた国家平和発展評議会 (SPDC) は解散し、その権限は新政府に移譲され民政移管が実現した。
一方、昨年11月の選挙で国会の過半数の議席を獲得した国民民主連盟(NLD)は1988年に英国より帰国したアウン・サン・スー・チー氏が結党に参加し書記長に就任。全国で遊説を行っていた結果1989年7月に自宅軟禁され、NLD書記長を解任された。
1990年に行われた総選挙に参戦したNLDは大勝したが、軍政権は国の安全維持を理由に政権移譲を拒否。2010年には2008年憲法に基づいた総選挙が行われたがNLDは選挙をボイコットした。
そして、2015年11月8日に行われ総選挙でNLDが総議席数664の内軍人議席をのぞいた498議席中380議席を獲得して次期政権を担うことになった。
しかしながらNLDの党首であるアウン・サン・スー・チー氏の大統領就任は、憲法の規定により認められていない。外国籍の親族を持つものは大統領になれないという規定があり、次期大統領候補は直前まで予測できなかった。
そんな状況下、スー・チー氏を長年陰から支えてきたティン・チョー氏が突然候補者としてNLDから擁立され、次期大統領に決定した。大統領になれないスー・チー氏に最も忠実な人物だと言われている。
閣僚名簿が発表された。閣僚にはならず政権与党のNLD党首として実質政権支配をするのではないかと言われていたスー・チー氏だったが、3月22日に発表された閣僚名簿に名を連ねた。要職である外務相など4つの閣僚ポジションを兼務すると言われている。
大統領の任期は5年。テイン・セイン現大統領の任期は今月末で終了する。1988年から活動を続けてきたスー・チー氏とその仲間たちの思いがようやく形になっていく。数多くの課題が見ているが、どう乗り越えていくかスー・チー氏とNLDの手腕が試される。
〔関連記事〕
- ミャンマーの省庁再編可決。3月22日に閣僚名簿(2016年3月16日)
- 次期ミャンマー大統領「ティン・チョー」氏とは(2016年3月12日)
- ミャンマーの閣僚名簿発表。スー・チー氏も入閣(2016年3月24日)
〔参考記事〕
(1)民主化運動
(2)選挙の歩み
(3)2015年選挙結果
(4)主要人物
(5)新大統領選出
○ASEAN各国のコト
〔ASEAN〕
- タイ中央銀行とマレーシア中央銀行は、貿易などの取引で現地通貨建てを促進する枠組みに合意 〈※関連記事〉
- 中国とメコン流域「陸のASEAN」5か国が中国海南省で3月23日、首脳会議を開催。中国が100億ドル超の融資枠設置を表明 〈※関連記事〉
〔インドネシア〕
- 3月20日、インドネシア北部の排他的経済水域(EEZ)で違法操業中の中国漁船を摘発したインドネシアの監視船が中国海警局の船に体当たりされる 〈※関連記事)
- 3月22日、ジャカルタの複数個所でタクシー運転手などによる大規模デモ発生。配車アプリサービスの禁止を訴える。一部暴徒化 〈※関連記事〉
〔シンガポール〕
- シンガポールの電力大手「Vパワー」はミャンマー西部ラカイン州のチャオピュー経済特区(SEZ)に保有するガス火力発電所の能力を現在の2倍の9万キロワットに引き上げる。ミャンマー電力省参加の電力公社(MEPE)と契約を締結した
〔タイ〕
- 昨年12月に携帯電話サービスの第4世代(4G)電波を755億バーツで落札していた「ジャスミン・インターナショナル」は、期限の3月21日までに初回の支払いができず、新規携帯サービス参入が白紙化 〈※関連記事〉
- 東南アジア最大級の自動車展示会「バンコク国際モーターショー」が3月21日開幕
〔フィリピン〕
〔マレーシア〕
- 都市計画の一環として建てられる地上118階だての「ムルデカPBN118」の建設に着手 〈※関連記事〉
- マハティール元首相が3月23日、ナジブ首相を「汚職に絡む職権乱用」で高等裁判所に提訴 〈※関連記事〉
- ヤマト運輸は3月23日、マレーシア向けに「国際クール宅急便」のサービスを3月28日から始めると発表した 〈※ニュースリリース〉
〔ブルネイ〕
〔ベトナム〕
- 電子決済サービス「MoMo」が英スタンダードチャーター銀行・米ゴールドマン・サックス証券から2800万ドルの出資を受ける 〈※関連記事〉
〔ミャンマー〕
- ティン・チョー新大統領が省庁再編案を国会に提出。3月21日に可決。現在31の省庁が21に 〈※関連記事〉
- 資源開発大手「タンピョートゥ・マイニング」が同国南東部のタニンダーリ管区メイで石炭火力発電所を建設する。ミャンマー投資委員会(MIC)の認可待ち
- 3月22日、新政権の閣僚名簿が発表。削減後の21のポストに18人。スー・チー氏も名を連ねる 〈※関連記事〉
- スウェーデンの「ボルボ・カー」がミャンマーで新車販売に参入。地場企業と合弁え「パフォーマンス・オート・インターナショナル(PAI)」を設立し、販売代理店契約を結んだ
〔ラオス〕
〔カンボジア〕
○日本の動き
- 千代田化工建設はインドネシア東部のパプア州で、米鉱山大手フリーポート・マクモランから銅の精錬所を受注した。受注規模は1000億円、稼働開始は4~5年後
- インドネシアで海底ガス田の開発計画を進めていた国際石油開発帝石は、ジョコ大統領の方針決定により大幅に計画変更が必要となる 〈※関連記事〉
○経済指標
- フィリピン中央銀行は3月23日、金融政策決定会合で政策金利を4%で据え置くことを決定。据え置きは12回連続
- タイ中央銀行は3月23日、金融政策委員会で、政策金利(翌日物レポ金利)を1.5%に据え置くことで決定。据え置きは7回連続
〔これからの予定〕
- 3月29日
・タイ、新憲法の最終草案公表 - 3月30日
・ミャンマー、政権移譲式典 - 4月1日
・インドネシアの3月の消費者物価指数 - 4月2日
・ダジャン祭り(水かけ祭り)(東京 日比谷公園) - 4月12日
・「TECH IN ASIA」が起業家支援イベント開催(シンガポール)
・ミャンマー祝日:水祭り Maha Thingyan Festival (~16日) - 4月13日
・タイ祝日:灌仏節 Songkran Festival (~15日)
・カンボジア祝日:クメール正月 Khmer New Year Day (~16日)
・ラオス祝日:ラオス新年 (~15日) - 4月17日
・ミャンマー新年(祝日) - 5月9日
・フィリピン大統領選投開票(フィリピン)
○他の記事も読む○
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